当事者と家族と支援者と

昨日、神戸市総合福祉センターで北海道で精神科看護師をされている村本好孝さんをお迎えして、当事者研究の勉強会を行っています。参加者は20名ほどでした。

村本さんの精神科訪問看護での経験を軸に会場からの話を受けて、村本(写真右)、吉田(写真左)の掛け合いで展開しています。

○疾患の理解
 統合失調症の症状はドーパミンが過剰に出て、脳神経が誤作動を起こしてしまい、実際に起こっていない恐怖の症状が出現する。実際には起こっていないことでも恐怖に感じてしまい、引きこもってしまうこともある。
 そこでドーパミンをブロックするお薬を飲むことで、幻覚や妄想的なものが和らぐ、脳の中脳に当たる部分にこの薬が効くことで症状が緩和する。一方でこの薬が前頭葉に効きすぎると意欲が下がる形になる。いわゆる陰性症状が出現する。幻覚や妄想などの症状が落ち着けば、減薬などの方法も含めて主治医に相談することも大切。

○引きこもりの対策
 子どもなどで頭痛やお腹が痛くなって、学校にいけない場合もある。そんな時に行くように促されると、症状が治ると学校に行かないといけないと考えてしまう。大人の場合は働かないといけないと思ってかえってしんどくなる場合もある。村本さんはそんなときに、「頭痛やお腹が痛くない時に学校を休もう」と伝え、本当に休んでもらう。そうやってしっかり休めた経験が積めると、次の目標である学校に行くこと、働くことにつながる。
 これは疾患についても同様で「回復恐怖」があり、回復すると学校に行かないといけない。仕事をしなくてはいけないと感じてしまい、「回復する」ことが怖くなる。安心して休めること、本人のペースに合わせることの大切さがある。
 昔は無理やり本人を精神科の病院に連れていき、治療して問題行為をしない約束をさせて、退院となる。またそんな行動を起こしたときにはまた無理やり連れていかれ、入院となっていた。今はそんな時代ではないので、しっかり本人と対話して、今後どうするのかの「契約」をする。その時に本人と家族で話すのでなく、専門家である訪問看護師などを利用するのも方法なのかもしれない。

○トラウマケア
PTSDについても公認心理師によるトラウマケアも保険診療に含まれるように2024年の保険診療から改定になった。まだ多くの病院が実践しているわけではないが、少しずつ変わってきている。
トラウマについても以前は認知行動療法の暴露法という方法しかなかった(清潔でないと気になって、手洗いが止まらない人にあえて、地面を触ってもらい、大丈夫と確認するなどの方法)が、今は優しく無理をしない方法がとられている。
 今はしんどい状況であっても、色々な手法が出てきている。大切な考えとして、家族自体が疲弊しないようにすること、ギリギリになってから専門職と関わるのではなく、事前に関りを持っておくこと。

○訪問看護のしくみ
本人のケアだけでなく、家族の相談などでも使える。家族の話をしていく中で、本人もダイニング等に水を飲みに来るようになり、そこから話をしてくれる人もいる。そこでも無理をせずに提案をしてみるが、本人が「NO」と言えばそこで終了するような提案も有効なのかもしれない。

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